成年後見制度の一つに、任意後見制度というものがあります。
法定後見制度と任意後見制度の細かい説明は省くとして、
任意後見制度のメリットは、自分の意志で後見人を選べることにあります。
というのも、法定後見 (後見・保佐・補助) については、
基本的に誰が後見人になるか分からないのです。
確かに、法定後見を申立てする際には、後見人候補者を立てることができます。
しかし、後見人候補者を立てたからといって、必ずしも候補者が選ばれるとは限りません。
後見人等を選ぶのは、あくまで家庭裁判所だからです。
また、自分自身が後見相当の精神状況になってしまった後では、
自分の意志で後見人を選ぶことは、事実上不可能です。
家族や福祉関係者が、 「この人がいいよ」 ということで後見人候補者を立てたとしても、
本人の、自分の意志とは言い難いからです。
その点、任意後見制度においては、
自分が信頼をおける人に、財産管理や身上監護をお願いすることができるというわけです。
もちろん、任意後見制度にも問題点がないわけではありません。
「任意後見受任者」を決めて公証役場で公正証書を作成したとしても、
当事者同士が仲違いする可能性があります。人と人との友好関係ですので、揺れ動きます。
また、「任意後見受任者」は法務局に登記されることと、
当事者同士がどのような契約を結んでおくか(事務委任契約など)を
詳細に決めておく必要があることと、正しく制度を理解しておくことが必要なのです。
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