2014年12月4日木曜日

介護休業制度における「要介護状態」

介護休業において、「要介護状態」という語句の意味とは、


いわゆる「要介護〇」といった、公的介護保険における介護認定の区分ではありません。


「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態にある」


これが、介護休業制度における「要介護状態」です。



では、誰がその「要介護状態」を判断するのでしょうか。


厚労省が、介護給付申請の際に会社が労働者に求める「申出書」の様式例を示しています。


会社がハローワークに出す介護休業給付支給申請書は所定の様式が定められています。


いずれも、例えば介護保険証の写しを添付しろとか、


医師の証明書を出せという文言はありません。



つまり、労働者からの申し出に基づき、会社が判断するのです。








介護が必要な家族を抱えた会社員が、



「要介護状態」とは何ですか?と、



介護休業制度について知らない介護関係者に聞いてしまうと、



まったく的外れな回答が返ってきますので、要注意を。




2014年11月19日水曜日

同意書とリスク管理

本日、福祉事業あんしんサポートネットのメンバーとして、


介護労働安定センター広島支部のセミナーにて講演をしてまいりました。


主に代表の弁護士が講義し、私は進行とサポート的な役割です。


介護業界で起きる様々なトラブルやクレームを私が紹介し、


法的にはどのように考えていけばよいかを弁護士がアドバイスするという形式です。





「看取り」対応や重度者の受け入れをはじめ、介護現場においては、


少々困難ともいえるサービス提供を求められることが少なくありません。


そのような中で、事故が起きなかったにしても、実際に亡くなられたケースに


なった場合、施設側の過失責任を求められることも少なくありません。


その場合、「念書をとっておけばよい」「同意書を取っているから大丈夫」という


考えを持つかもしれませんが、それは意味がありません。




施設は、安全にサービスを提供する義務があるため、


その場その場の急変時に応じた同意でないとなりません。


そのため、例えば看取りなどの場合、あらかじめ包括的な同意を書面で取った上で、


施設側の対応を詳細に記録しておく必要があります。


先日のグループホーム外部評価で拝見したケースなどは良くできており、


看取り同意書を定期的に更新する仕組みがあるうえで、


同意書の裏面に職員の対応した経過記録、利用者の状態、家族とのやりとりを


詳細に記したものになっていました。




利用者本位など、福祉の精神は経営に必要でありますが、


決して親切心や良心だけでは経営はできないということになります。


2014年11月18日火曜日

介護休業の拡大へ

育児・介護休業法では、要介護状態になった家族一人あたり


通算93日まで介護休業を取得することができます。


介護休業の規定ができたのが1995年であり、


これは介護保険制度がスタートした2000年よりも以前の話になります。


ですので、現在の介護認定区分である「要介護1~5」に認定される必要は、


必ずしもありません。


「要介護状態」と言っても、客観的な線引きが必ずしも明確であるわけでなく、


会社の就業規則等に介護休業の規程が存在しても、


必ずしも適切に運用がなされているとは限りません。



厚生労働省は、2016年の通常国会に提出することを目処として、


介護休業期間の延長や短期間の介護休業取得ができやすいように


制度を見直すべく検討に入ったとのことです。


要介護高齢者の増加と、特養などの施設ベッドの頭打ちなどで、


在宅介護が推進される一方で、


仕事と介護の両立困難など、離職を余儀なくされる労働者の増加が


社会問題になりつつあります。


国の試算では、年間約10万人が家族介護を原因に離職するといわれています。




2014年11月12日水曜日

任意後見制度の留意点

成年後見制度の一つに、任意後見制度というものがあります。


法定後見制度と任意後見制度の細かい説明は省くとして、


任意後見制度のメリットは、自分の意志で後見人を選べることにあります。


というのも、法定後見 (後見・保佐・補助) については、


基本的に誰が後見人になるか分からないのです。



確かに、法定後見を申立てする際には、後見人候補者を立てることができます。


しかし、後見人候補者を立てたからといって、必ずしも候補者が選ばれるとは限りません。


後見人等を選ぶのは、あくまで家庭裁判所だからです。


また、自分自身が後見相当の精神状況になってしまった後では、


自分の意志で後見人を選ぶことは、事実上不可能です。


家族や福祉関係者が、 「この人がいいよ」 ということで後見人候補者を立てたとしても、


本人の、自分の意志とは言い難いからです。



その点、任意後見制度においては、


自分が信頼をおける人に、財産管理や身上監護をお願いすることができるというわけです。




もちろん、任意後見制度にも問題点がないわけではありません。


「任意後見受任者」を決めて公証役場で公正証書を作成したとしても、


当事者同士が仲違いする可能性があります。人と人との友好関係ですので、揺れ動きます。




また、「任意後見受任者」は法務局に登記されることと、


当事者同士がどのような契約を結んでおくか(事務委任契約など)を


詳細に決めておく必要があることと、正しく制度を理解しておくことが必要なのです。


2014年11月6日木曜日

75歳以上の医療保険料の見直し

久しぶりの更新です。


政府が2015年に法改正を目指す医療保険制度改革案の中で、


75歳以上の医療保険料についても負担増が検討されております。


現在の制度では、75歳になると後期高齢者医療制度の対象となり、


個人で公的な医療保険に加入することとなります。


それまで家族の扶養に入っていたような方は、保険料負担はありません


でしたが、75歳以降は、家族に扶養されていても関係なくなります。


ただし、保険料の軽減措置として、低所得者とともに、75歳までに


扶養されていたような方には、最大9割の保険料負担軽減があります。


75歳以上の人口約1600万人のうち、この対象者は174万人あります。


要は、ここに負担増を求めるというものです。


2年間の経過期間(本来保険料の5割)を経て、3年目以降は一般的な


保険料負担基準に基づいて計算されるため、最大で1500円の負担増に


なる方もありそうです。




ここで「世帯分離」について。


福祉サービス等の負担軽減を目的として行う「世帯分離」ですが、


福祉関係者も薦めるケースもあろうかと思います。


扶養されていた人が受ける保険料軽減措置がなくなることにより、


世帯分離を行うデメリットが一つ消えたことになります。



とはいえ、2015年の介護保険法改正により、


世帯分離による福祉施設の食費居住費の減免にもメスが入りそうな予感で、


福祉関係者のアドバイスも注意が必要な気がします。



2014年9月25日木曜日

定額残業代の留意点

残業の発生による人件費の高騰や、計算にかかわる手間等の対策のため、


定額残業代制度を導入する組織も多くあります。


しかし、定額残業代を導入したから、適正な労働時間の把握を免れるわけではありません。


また、定額だから、いくら残業しても関係ないというものでもありません。



基本給、歩合給、年棒等の一部など、


通常の労働時間の賃金部分とは明確に区分して残業代を支払うことが重要です。



2014年9月23日火曜日

マイナンバー時代に向けて

国民総背番号制と揶揄されることもある「マイナンバー」ですが、


その導入に向けた動きが徐々に見えてきました。


もともと税の正確で効率的な徴収が主な目的のひとつなので、


国税当局の動きは早く、平成28年1月から運用を開始するそうです。


さらに、内閣府担当室長の発言が報じられたところによると、


個人番号カードに健康保険証を早急に取り込んでいくとのこと。


健康保険証を扱う業種は非常に多く、最初に思いつくのは病院や診療所です。


また、会社が社会保険の手続きを行うのに必要な書類においても、


健康保険証の番号は必須のため、会社の総務にとっても影響は大きそうです。




マイナンバーが導入されることにより、国民生活の利便性は向上すると考えられていますが、


問題は、「マイナンバー」が非常に高いレベルの個人情報であることです。


現行の個人情報保護法においては、


5000件以上の個人情報を管理している事業者が個人情報取扱い事業者となりますが、


マイナンバー法では、1件でも管理していれば対象事業所となります。


さらに、個人情報保護法では、何らかの問題が起きた場合、行政指導があって後、


それに従わない場合に罰則が適用されることとなりますが、


マイナンバー法ではいきなり罰則対象となります。



マイナンバーには、健康保険証をはじめ、年金、雇用保険、運転免許など、


様々な個人情報の運用が行われていくこととなりそうです。


これを正確に運営するために、罰則を厳しくして問題を防ごうというのが、


現在の行政当局の考え方のようです。


2014年9月7日日曜日

研究者と高齢者

研究者(大学の教員含む)と高齢者は、以外な共通点があります。



労働契約法 第18条の2 において、有期労働契約が更新され


通算5年を超える場合、労働者の申し出により無期契約に転換されるという、


いわゆる「無期転換ルール」があります。



これに対し、2013年に成立し、2014年4月から施行された「有期特例」では、


研究者、大学教員などの「専門的知識等を有する有期雇用労働者」には


無期転換ルールを適用されないこととなりました。



さらに、定年後に有期契約で継続雇用される高齢者にも、


無期転換ルールを適用されないという法改正案が国会に提出されています。




研究者は、期間が定められたプロジェクトが終了したら、


仕事がないのに雇わないといけないという理由。


高齢者は、本人が望めばいつまで雇い続けなければならないという理由。



背景は違えど、意外な共通点があるものです。


パートタイマーへの処遇について

パートタイマーへの処遇は一般的に、


通常のフルタイムの労働者への処遇に比べ、低いものとなっています。


その理由として、労働時間の長短もありますが、仕事の責任の軽重や、


転勤、転属など会社の人事により、仕事内容も左右されるからでもあります。


転勤や転属などがあれば、それまで慣れ親しんだ仕事から離れ、


新たな業務を覚えなくてはなりません。


営業マンであれば、新たな人脈を作らなくてはなりません。


このように、パートタイマー労働者と比べ、会社方針に合わせ


仕事への適応性を高めていかなければならないのが、


通常の労働者と言われる人たちです。





ところで、現在はパートタイム労働法の改正など、


パートタイマーの処遇を確保し、向上させていこうという法改正の流れになっています。


特に問題となっているのが、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」です。


「フルタイムパート」と呼ばれる労働者に象徴されるように、


本来、労働時間を分ける(パート)から「パートタイマー」と言うはずが、


1日8時間、週40時間労働しているのに「パートタイマー」という


不思議な話がおきています。


「パートさん」ですから、通常の労働者と比べ待遇の面で低くなっています。



「改正パートタイム労働法 第8条」では、待遇の相違について、


「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」
(抜粋)


ということは、通常の労働者と比べ、パートタイマーの待遇が低くなっているのには、


合理的根拠が求めれていきそうです。



2014年8月30日土曜日

少子高齢化と空き家

総務省から「空き家率」というものが発表されています。


主に地方で人口減少が続き、2008年から5年間で63万戸増加し、


空き家が820万戸に達しているとのこと。


「空き家率」は13.5%だそうです。



このままのペースで増加すると、2023年には946万戸となり、


「空き家率」は16%に達し、6軒に1軒が空き家になります。



空き家のみならず、空き店舗も地方では深刻です。


高齢化や少子化による人口減少が続くと、


空き家の増加がますます進行します。


増え続ける住宅ストックをどのように活用するか?


もう誰も住まない住宅をどのように活用するか?



喫緊の課題だと言えます。

2014年8月18日月曜日

事業場外みなし労働時間制と携帯電話

労働時間に応じて賃金が算定されることが原則である現在の労働法では、


工場や事務所などの事業場内で、管理監督者の指揮命令のもと、


定められた時間を労働することで賃金が計算されます。


ところが、事業場外で働く場合はどうなのでしょうか。



管理監督者の眼が行き届いていない中での労働なので、


どのくらいの時間働いたのかが分かりません。


そこでクローズアップされるのが「事業場外みなし労働時間制」になります。


事業場外では指揮命令や監督が及びにくいため、


「労働時間を算定し難い場合」に限り、


あらかじめ定められた時間労働したこととみなす制度です。



携帯電話が普及した今日では、


「労働時間を算定し難い」というケースはまれです。


例えば新人社員が営業の外回りで、


上司からの携帯電話による指示を仰ぎながら仕事を行っていた場合、


「労働時間を算定し難い」とは言えないことになります。


また、旅行会社の添乗員が、海外でも通話できる携帯電話を持ち、


会社からの指示が常に受けられる状態で勤務していた場合、


たとえ海外で勤務していたとしても、


「労働時間を算定し難い」とは言えないという最高裁判決もあります。



とはいえ、個々の事情が反映しますので、一概には言えないのが難しいところです。


一般的に携帯電話が普及した今日では、


事業場外みなし労働時間が認められにくくなっているのも事実です。


制度を導入しようと考えておられる事業場は、慎重に検討する必要があります。


2014年7月21日月曜日

福祉業界における人事考課

人事考課を導入しようとする企業や団体は多い。


福祉業界も例外ではありません。


人事考課を導入する目的というのは、組織内の活性化に他なりません。


従業員を動機付け、意欲的に頑張って、成果を出せば報いを受けるという、


ある意味働く上で当然の成果を従業員に味わってもらい、


働くことに対するモチベーションを向上してもらおうとするものです。




ところが、この人事考課が逆に組織の元気をなくしているケースも多々あります。


それは、組織の本質に対する無理解に起因するものです。



福祉業界においては、個人プレーが業績を向上させることはありません。


その理由として、制度的には「人員基準」があること。


人間論的には、複数の人間がいないと組織が回らないこと。


業績は、チームによって向上し、受ける成果はチームによって享受されるべきものです。




業種によっては、個人の力量を伸ばすことで業績に直結するものもあります。


しかしそれは、自動車や保険の営業など、限られた業種にのみ通用するものです。


組織の業態が株式会社であっても社会福祉法人であっても、


特定の個人のプレーによって業績が向上することはありません。




ところが、コンサルタントと言われる人たちの中には、


ある意味で極めて資本主義的な考え方を持っているせいか、


成績の悪い者の報酬を減らし、成績の良い者の報酬に持っていくという、


ゼロサムゲームのような制度を導入しようとする者もいます。


このようなコンサルタントは、組織の本質を見誤っているとしか言いようがありません。



従業員同士、給与明細書を見せ合った瞬間に、組織の瓦解は始まります。



私が日頃から講演などを通じて訴えていることは、


仕事の成果をダイレクトに報酬に結び付けないことです。


働きやすさで報いることなのです。


その「働きやすさ」を与えるには、どのような条件が必要か、


制度的条件(労働法、介護保険法など)


情緒的条件(独特の人間関係など)


歴史的条件(その組織の成り立ち、歴史)


以上を踏まえ、オーダーメイドで、組織ごとに制度を構築することが必要なのです。


2014年7月2日水曜日

相談を受け続ける

日頃から相談を受けることを職業としているのですが、本日も例外ではありません。


障害年金の相談では、ポイントを押さえながら話すよい訓練になります。


介護保険の連絡調整では、相手の状況を理解して最適な対応を提案します。


成年後見の相談では、その人の将来を考えたプランを提案しつつ、現実的な対応を取ります。



夜の会議最中にも相談の電話がかかってきました。


「今すぐ来て欲しい」


これは、ある意味信頼されているからだと自分に言い聞かせ、


東奔西走いたします。


2014年6月28日土曜日

効果的な人材育成について

先日、(財)介護労働安定センター広島支部 主催の講演会にて、


標題のような講演会を行いました。


対象は、もちろん介護業界であり、


経営者、管理者が対象です。


介護業界における人材育成は、様々な問題点を抱えており、


とりわけ重大なのが介護職員の離職の問題です。


介護は「人員基準」を抱えており、


一握りの優秀な人材によって成り立つものではありません。




数多くの職員を束ね、定着させる「底抜け防止」が必要なのです。


底抜けを防止しつつ、全体の底上げを行い、


その中から将来を担うべく優秀な管理者となるべき人材を見つけ出すのです。



昨今は、いろいろな経営コンサルタントが幅を利かせ、


中には優秀な方もいるのですが、


多くは組織を混乱させるだけに終わる場合も少なくありません。


また、介護関係に詳しいとされる「その道の講師」では、


サービス向上に役立つものではあっても、労務問題に対し全く考えが及ばないため、


実際の運営上に整合性が取れないこともままあります。



スペシャリストを養成することと、ゼネラリストを養成すること。


この二つを同時に行わなければ、真の意味の人材育成はありえません。



以上のような話を、データや実例を交えながらお話させていただきました。



私の拙い話を聞いていただいた、30名を超える方々には、


感謝申し上げます。


2014年6月20日金曜日

時間に余裕を持って行動する

午前中の病院まわりは、久々に路面電車を使いました。


広島市内は、一律150円です。


最近、車の移動ばかりで一日の走行距離が100kmを超えるなど、


健康にも環境にも良くない動きをしていました。


路面電車の場合、時間が計算できませんので、時間に余裕を持って移動します。


電停から目的地までの距離など、けっこう歩きました。


すると、移動中にも色々なアイデアが浮かび、たまには良いものだと思いました。



明日は分刻みの行動スケジュールですので、時間に余裕を持って行動しようかと。


2014年6月11日水曜日

老後の生活費と年金、成年後見

標題のようなテーマで、広島市内の集会所にて2回講演を行うことになりました。


社会福祉法人の、社会貢献の一環として行われるもので、講師を引き受けたものです。


老後の生活費には介護費用も含まれ、配食や日常生活用品などの費用、


それをまかなう年金収入、


総合的に管理する成年後見、


というわけで、相互は密接にリンクしているわけです。


当事務所のお客様は、個人、法人の垣根なく、


総合的にサポートさせていただいているのです。


2014年6月7日土曜日

土曜日のお仕事

昨日はケアマネ会の役員交流会でしたが、本日は訪問予定はありませんでした。


私のような個人事業主の場合、アポイントからアポイントの間が休日です。


とはいえ、今日も電話は数件連絡調整がありましたし、事務作業もはかどりました。



介護保険の保険請求(5月分)を2時間くらいで片付けた後、


障害年金の提出準備に力を入れました。


介護保険の事務作業と違い、障害年金の受診状況申立書は、非常に頭を使う作業です。


頭の中でストーリーを思い浮かべながら、


筋道立てた論点と、想定される反論も考えた上で作業を進めます。


障害年金の裁定請求支援というのは、ケースワークの経験の他に、


論理的な思考が必須です。


2014年6月4日水曜日

公的年金の長期見通し

厚労省は6月3日、公的年金の長期見通しを発表。


現役世代の手取り収入に対し、将来的には50.6%となるというもの。


現在の所得代替率は62.7%ですので、現在の支給状況よりも下がるものの、


政府の目標である所得代替率50%が維持される見込みであるとのこと。



以前のブログにも書きましたが、公的年金が維持され続けるには、


日本経済の継続的な成長が必要です。


年金を支える側の人口は減少しているのですから、経済のパイを増やし続けることで、


退職世代にも給付が可能となるわけです。


また、よくある誤解に、


年金は若い頃に積み立てた保険料を、高齢になって受け取る訳ではないのです。


現在の現役世代が、現在の退職世代を支えているという「賦課方式」になっています。


民間保険と比べると理解が非常にしづらいため、誤解の元となっているようです。




以上を踏まえると、人口が減少しているのは、日本全体の責任ですし、


所得代替率5割というのも、妥当な線ではなかろうかと思います。


2014年5月29日木曜日

役所は朝一番に

役所関係への届出や手続きは、朝一番にまわると効率が良いです。


8時半にすべり込み、9時に別の役所に駆け込むという離れ技も、


駐車場や窓口が空いているからこそです。


そのための下準備は、前日の夜の作業になります。


早く効率的なやり方を見出したいものです。

2014年5月25日日曜日

介護保険法改正について②

介護保険施設への入所には、「補足給付」と言われるものがあります。


施設入所には、水道光熱費や部屋代などの、いわゆる「ホテルコスト」が発生します。


在宅生活を送っていれば、当然水道光熱費や家賃などのコストが発生しますので、


施設入所においてもホテルコストの負担が発生します。



ただ、多くの人がそうであるように、在宅生活にいては「節約」が可能です。


水道や光熱費を節約して安く押さえたり、安い食材を購入して工夫すれば、


在宅生活においてはある程度安いコストで生活できます。


ところが、施設入所をしますと、食事は栄養バランスの優れた一定の食事、


冷暖房の完備された部屋など、一定の質が保たれる反面、定額のコストが発生します。


自宅ではない施設には、様々な設備や従業員等がいますので、一般的には


自宅にいるよりも割高な負担になります。


例えば、1ヶ月の食費が6万円かかる施設があったとして、


在宅生活で食費に6万円もかける高齢者はあまりいません。



前置きが長くなりましたが、そのようなホテルコストに、一定所得以下の方は


介護保険からの助成があります。それが「補足給付」です。



今回の介護保険法改正では、そこにメスが入れられようとしております。


まず、「所得」とは、遺族年金や障害年金など非課税収入は「所得」の向上に結びつきません。


そこで、高額な遺族年金を受け取っている方や、老齢年金が低額でフローの収入が少ない方


などは、低所得者に分類されて補足給付の対象になっています。


ところが、法改正においては一定の「預貯金」を保有する人に対して補足給付の対象を


外すという方向になる予定です。衆議院厚生労働委員会は通りましたので、おそらく確定です)


一定の預貯金とは「1000万円」(単身者)、2人以上世帯であれば「2000万円」です。


預貯金の捕捉は極めて困難なのに、どうやって把握するのかという問題がありますが、


① 自己申告

② 銀行への照会

③ 違反者へのペナルティ


以上の3段構えとなる予定です。果たして、上手くいくのでしょうか?


今日は運が良い

広島市内でも、やや遠方に所用があって出かけていた際、お客様から電話がありました。


聞けば、直接会って話をしたほうが良さそうな内容です。


丁度近くまで来ていたので、「今から訪問します」と言ってお客様の元に訪問しました。


そこで、タイトルのような言葉を頂きました。


なにはともあれ、顧客に喜んで頂けることは仕事の励みになりますね。


2014年5月15日木曜日

介護保険法改正について①

去る5月14日、介護保険法改正案が衆議院の厚生労働委員会で可決されました。


それについて、シリーズで取り上げていこうと思います。



まず、一定所得以上の利用者負担の見直しについて。


一律にサービスの利用料は一割と定められていますが、


一定の所得に該当する方は、2割負担となります。


一定の所得とは、年間160万円となるそうです。


この年間160万円の所得とは、年金収入で言えば280万円、年金月額23万円です。


年金月額23万円は、高齢者全体の20%に相当するとのこと。


東京などの大都市で、役員報酬や共済年金など富裕層であればともかく、


地方都市で一般のサラリーマンであったような方には、縁がなさそうです。



取れるところから取っておこうということですね。


2014年5月14日水曜日

介護保険法と労働法の人員基準

介護保険法や障害者総合支援法に基づく規制には、


独特の人員基準があります。


これは、一般的に労働法において規制される、


法定労働時間や所定労働時間、雇用保険や社会保険の適用、


常時雇用される者と臨時雇用、常勤と非常勤などの規制が、


介護保険法や障害者総合支援法に微妙にリンクしたりしなかったりと、


関係者を悩ませる原因にもなっています。




これに雇用計画などの会社としての戦略性をからませて、


事業所をどのように運営していくかが、経営戦略として問われるのです。


具体的な例を挙げれば、


労働法上、非常勤のパートとして雇用したとしても、


介護保険法上の「常勤」の基準を満たしていれば、労働法上の「常勤」と


同格になるわけです。


逆に、労働法上では労働時間の規制がない事業主であっても、


介護保険法上の常勤換算日数において、青天井のように算定できない。


といった点が留意が必要です。



2014年4月26日土曜日

少子高齢化について

少子高齢化が社会問題となっている背景には、


持続性のある社会保障を維持できないという問題があるからです。


現役時代に貯めたお金を高齢になって受給する「積み立て方式」とは異なり、


今の現役世代が今の高齢世代を養う「賦課方式」で運用されているのが、


現在の社会保障制度の姿です。




では、現役世代の所得の減少と世代ボリュームの減少により、


高齢世代(引退世代)の世代ボリュームを支えきれないというのが、


社会保障が行き詰るという考え方の元になっています。



これは、考え方を転換すると、少し違う理解の仕方もあります。


というのは、今の高齢世代(引退世代)がGDPを戦後押し上げてきたから


現代で豊かな生活が営める(ニートでも生きていける)のであり、


高齢世代に対する社会保障費の増大で現役世代が窮乏するのであれば、


それは長い眼で見てプラスマイナスゼロではないかと。


世代間の不公平など無く、むしろ公平になるということです。



とはいえ、そのような考えを抱く人はごく少数で、


多くの人は、現在の豊かな生活を維持した上で、


社会保障も可能な限り充実させるという願望を抱いております。



とどのつまり、日本は少子高齢化が一段落するまで、GDPを成長させ続けるしかないわけです。



2014年4月23日水曜日

ホワイトカラー・エグゼンプション

本日の新聞報道で「ホワイトカラーエグゼンプション」について記事がありました。


それについて少し考察をしてみたいと思います。


労働基準法は戦後すぐの昭和22年に制定され、その後様々な改正を経て、


昭和62年改正では裁量労働制の一部実施とともに、週40時間労働が法定されました。


週40時間労働の上限のような、労働時間を基準にした規制では、


工場労働者のようなブルーカラーの労務管理では有効である反面、


企画、立案、営業など、労働時間だけでは仕事の成果が図れない業種においては、


労働時間によって賃金が決まる仕組みというのは、なじまないのかもしれません。


そこで考え出されたのが、「ホワイトカラーエグゼンプション」です。


ホワイトカラーとは、前述のブルーカラーとの対比で、シャツの襟の色が白く、


作業着ではなく白いシャツを着て事務仕事を中心としたデスクワークを行う人という意味です。


このホワイトカラーの仕事は、単純に労働時間を多く投入すれば


いい仕事ができるというものではありません。(無論、一定の時間はかかるのですが)


短い時間で成果をあげることもあり、


逆に、いくら長い時間をかけても成果が上がらないこともあります。


しかも、現在の労働基準法では労働時間に応じて賃金が支払われる仕組みであるため、


ダラダラ残業や、外勤職員の労働時間の把握の困難などの弊害が発生していました。


単純に成果を上げれば給料を支払うような仕組みにすれば、労使双方ともメリットが大きい


というのが経営者サイドや一部政府内の考え方です。


労働組合や野党の多くは反対しております。


企業が残業代支払いの制約をのがれ、無期限のサービス残業につながるというものです。


成果が上がれば家に帰れる反面、


成果が上がらなかったり仕事が完了しなかったら、いつまでも仕事をし続けなくてはならない


(仕事が終わるまで帰ることを許されない)状況では、


経営者サイドから「まだこれくらいできるだろう」ということで、


仕事が無制限に与えられる可能性があるということです。


とどのつまり、ホワイトカラーエグゼンプションとは、


中小企業の経営者なみの責任と権限が与えられて、初めて上手く機能するものです。


仕事の裁量や権限がない状態で、労働時間の規制だけが撤廃されると、


労働者が悲惨な目にあうことは明白です。


現実的には、ある程度の年収(1000万円など)を超えるとか、


出退勤が全く自由に与えられている研究職などの仕事に限定されるものと思われます。


私個人的には経営者の一人として、ホワイトカラーエグゼンプションには賛成ですが。

2014年4月16日水曜日

日常の出来事

事実上の個人事務所であるため、家庭の用事や仕事を含めて、1日のスケジュールを立てます。


朝、幼稚園バスの送り出し

鯉のぼりを揚げる

書類作成

メールチェック

研修会

電話連絡

事業所訪問

家庭訪問


以上は、今日一日の流れです。

朝にあげた鯉のぼりは、夕方、家族が片付けていました。

2014年4月9日水曜日

助成金の活用方法・・・①

事業を展開する上で、数多くの助成金が存在します。

書類の提出期限や、助成金の適用期間など、

常に最新の情報を確認しておく必要があります。


一つ留意しておかなければならないのが、

助成金では黒字にならないことです。


企業の経営戦略、人事戦略において、

社会の要請とマッチしたものが国から奨励されると考えることが重要です。


福祉の業界においても、人事戦略は重要です。

助成金を目当てに、人を雇用するなど本末転倒です。


また近いうちに、続編を投稿します。

ではまた。


2014年4月6日日曜日

応能負担と応益負担、所得税と消費税

福祉の学習を進めると必ず出てくるのが、「応能負担」と「応益負担」の違いです。



応能負担とは、文字通り能力に応じた負担であり、


利用者の所得が高ければ高い利用料を支払い、


逆に所得が低ければ低い利用料を支払うというもの。



応益負担は、受ける利益に応じた負担であり、


利用者の所得に左右されずに、一定の利用料を支払うもの、



福祉の現場では、応能と応益が混在して、利用者から負担を求めています。



応能に代表されるものとして・・・・・

一定の老人福祉施設における食費と光熱費、養護老人ホーム(特養ではない)の利用料など



応益では・・・・・

介護サービス利用料の一割負担、通所事業所における食費など



障害者福祉サービスでは、一定の負担水準まで応益を求めるものの、応能の側面が強く、

高齢者福祉サービスでは応益の色彩が強く出るものの、生活保護や原爆手帳、重度障害などの条件付きでサービス利用料の減額があります。




以上は、福祉の勉強の講釈であり、一定の俯瞰的な見方であり、いよいよ本題に入ります。


今月から消費税率が8%に上がりましたが、


そもそも消費税とは、国民から所得に関係なく一律に徴収でき、


国や地方自治体にかかる行政や社会保障にかかるコストを一律に求めるという意味で、


応益負担と言えます。



一方で所得税とは、収入から一定の経費を差し引いた額に税率をかけて徴収されるため、


稼ぐ能力に応じた負担を求めるという意味で、応能負担といえます。



日本国のGDPは400兆円を越える中、国の税収はわずか40兆円しかありません。


日本国内で生み出される富から10分の1しか税を徴収できていないことの理由は置いておいて、


所得税や法人税が少ないことが国の財政圧迫の原因のひとつです。


グローバル化が進んだ現代では、海外などに生産や活動の拠点を移すことで、


日本国内の生産事業が低迷し、日本国内の産業が空洞化しています。


その結果、日本の多くの中小企業は赤字となり、法人税や所得税を徴収しづらくなっています。


応能負担である所得税を徴収することが難しくなっているのです。




一方で、政府はいかにして効果的に税を徴収するかを考えています。




そこで、行政や社会保障にかかるコストを、



国民に応分に負担してもらう(応益負担)仕組みとして、消費税を増税したのです。



物やサービスを消費することで国民の富が向上するのに、


消費税は文字通り、消費することに対しペナルティをかけるという仕組みです。


所得に関係なく徴収されるため、低所得者層ほど影響は甚大です。




話を福祉業界にもどしますと、


介護保険が導入された当時は応益負担が強調されましたが、


年月が進み制度が改正されるたびに、応能負担が復活しているのが現状です。


国民の所得は平等ではなく、貧富の差が存在する以上、


応益負担一辺倒では限界があるのです。



かといって、応能ばかりにすると、富裕層が苦情を言います。


努力して、苦労をしたから富裕層になったのだと。


そういう面は確かにあります。


ではどうすればよいか・・・



富裕層に対し税金を徴収することが困難だから、


貧困層からでも徴収が安易な消費税によって解決を図るのではなく、


世の中のお金の流れを全てガラス張りし、強制的に徴収する社会にするか、


富裕層が身の丈に応じた税金を支払うことで、富裕層にとってもメリットのある社会にする・・・


そういう発想が重要なのです。


2014年4月4日金曜日

記事が掲載されました

このたび、当事務所の記事が、県社協の広報誌に掲載されました。



ご理解のある関係者のご好意があってのものです。


いま思えば、初めて画像をアップします。


文字ばかりの当ブログに一石を投じるものです。



2014年4月3日木曜日

月初めの日常

さて、新年度早々、重度の花粉症に悩まされましたが、何とか回復。


本調子ではないものの、午前中に打ち合わせ1件、


午後から受診の付添い1件行ってきました。



午前中の打ち合わせでは、障害者や高齢者を中心とした福祉事業を展開する社長に、


私が関与する「福祉事業あんしんサポートネット」の活動へのアドバイスを頂きました。



午後の受診付き添いは、障害年金受給のため、医師や相談員と面会するもの。


どちらも今後の仕事の展開に向けて重要な局面になります。



ではまた。

2014年4月1日火曜日

新年度 心機一転

まる1ヶ月間休止していたブログを再開し、今日からこまめに更新していきます。


平成26年度も本日からスタートし、心機一転がんばります。


4月1日は、記念すべき当事務所開設6ヶ月の節目となる日となります。




労働・社会保険・福祉の総合サポートとして、開設後スタートダッシュを続けましたが、


ここまでの事業を振り返り、不具合を修正していきます。




それとともに、年金相談のレベルをアップし、成年後見にも対応できるようにしていきます。


福祉関係事業所支援では、これまで以上に総合的なサポート体制を構築します。


居宅介護支援(ケアプラン)では、対応力を強化するために、ケアプラン件数を2倍にします。


来年度以降、交通の便の良いところに事務所を構え、事務員を雇用していく予定です。




なにはともあれ、まずは、目の前の仕事に全力で取り組みます。


2014年2月28日金曜日

人事評価制度構築のために・・・②

企業は組織である以上、


個人プレーによって成果を上げたとしても、


その成果をすべて個人に帰結することは間違っています。


一方で、


個人の成果を適正に評価しないと、


個人のモチベーションが向上せず、


全体的な業績の停滞を招きます。


さらにもう一つ、


成果や年功だけでなく、役割という概念も非常に重要なのです。


社長には社長の、取締役には取締役の、


部長、課長、係長など、それぞれの役割があるほか、


企業が社会の中で存在する上での役割があります。


最近の大河ドラマでは毛利の外交僧として安国寺恵瓊が登場しますが、


彼は諸国間の外交における顔というべき役割を担っています。


福祉の業界でも、いろいろな役割があります。


最もいい例が「管理者」です。


例えば介護サービス事業所の管理者には、必要な要件となる資格があります。


居宅介護支援事業所の管理者には、介護支援専門員を充てなければならないなど。


ところが、社内での地位は平社員にすぎないということは、多々あります。


社内での地位、


社外での役割、


経験、実績、業績など、


会社の実情に応じた、多方面から評価することが必要なのです。


2014年2月27日木曜日

消費税率と保険料納付要件

消費税率が4月から8%に上がります。


それに伴い、年金法にも若干の改正が入ります。


消費税によって財源が確保されるため、年金の改正によって給付を改善しようというもの。


例えば、父子家庭にも遺族基礎年金が支給されるなどです。



ここでは、消費税が10%になった時の話をします。


消費税が10%になるのを条件として、


年金保険料の納付要件が、現行の25年から10年に緩和されます。



これにより、かなり多くの人が年金受給の道が開けることになります。


25年に足りず、合算対象期間や様々な特例を考慮しても足りず、


諦めていた方にも光明が見えることとなります。


ところが、そう明るい話ばかりでもありません。


25年に満たないような水準で受け取る年金では、多くの場合、


それだけでの収入では生活することはできません。


プラスアルファで働き続けるか、公的扶助を受けるか・・・・


よくある話に、「貯金」がありますが、これもあまりアテにはならないんですよね。


2014年2月24日月曜日

小旅行

日頃は仕事のことばかり書いているため、たまには休みの日のことも書きます。


とはいっても、他の立派なブログのように、写真はありません。



本日は安芸の小京都、竹原市にて散策を行ってきました。


子どもに「どこ行きたい?」と聞いても、


「トイザらス」と言われるくらい、家族旅行に行っていない状態なのですが、


本日は久々の小旅行です。



竹原にて印象に残ったのは、昔ながらの町並み、雛人形、竹細工、酒蔵でした。


帰りに、標高差190m、アーチの幅380mで日本一の「広島スカイアーチ」を見物して帰りました。


2014年2月21日金曜日

今日は9件

本日は9件の訪問。


午前中、広島市西部3件の介護保険更新およびモニタリング。


午後の昼休憩中、広島東年金事務所(お昼休み中すみませんでした)。


午後3時まで、病院の昼休み明けをねらって、広島市内中心部の病院(2ヵ所)医師との面談。


夕方、広島市西部3件の介護保険更新およびモニタリング。


さらに、来週の業務調整・・・


移動中にも、2~3件は連絡調整はあったかと思います。


ということで、本日の移動距離は65kmでした。


独立前よりも、多くの距離を稼動しております。


あまり忙しいとは感じず、楽しんでやっております。


2014年2月20日木曜日

人事評価制度構築のために・・・①

長期雇用を前提とした新規学卒、終身雇用制度が動揺し、


新たな人事評価システムを導入しようとする企業が多い昨今、


「能力主義」ないし「成果主義」という言葉は、


それだけでは十分に機能しないということが、近年の状況で顕在化してきています。



もともと、企業はチームで行う以上、


個人の評価だけで評価することは組織全体の活力を奪うものです。



では、あらたな時代に対応した、「人事評価制度」はどうあるべきか?


少しずつ考えていきたいと思います。


2014年2月16日日曜日

有期労働契約の更新と、高齢者雇用

先日の新聞で、定年退職後、退職前の会社や関連企業に再就職した場合、


有期労働契約の契約期間が5年超になる場合でも、


例外的に、無期雇用に転換されないように検討という報道がありました。



上記の説明を補足すると、


有期労働契約(H25.4.1以降に成立したものに限る)の契約期間が通算5年を超える場合、


労働者からの申込により、無期労働契約に転換されるという、


不安定な有期労働契約の労働者を保護する目的で、労働契約法が改正された経緯があります。



ところが一つ問題になるのは、定年退職後、再雇用されたような高齢者の場合、


単年度契約の更新のように、有期労働契約を結んで65歳まで働くことのできるような


企業が多く存在し、現に多くの定年退職後の高齢者がこの働き方をしています。


これに、契約期間が5年を超えて無期契約になるような状態になると、


その方が自分で辞めるといわない限り、いつまでも働き続けることになる・・・


ということになります。



高齢者の社会参画という面では好ましいのですが、


企業は従業員の安全配慮義務など、労働者が安全に働く環境を整備する義務を負っています。


社会に貢献したい、働きたいという真摯な気持ちが、


会社を窮地に陥れることだけは避けたいものです。


先ほどの新聞報道の件は、経済団体からの要請を受けたものとのことで、


改正労働契約法の形も、少しは変わる可能性があります。


2014年2月12日水曜日

診療報酬改定を通じた政策誘導

本日の夕方のニュースにて、今年4月からの診療報酬改定のニュースが流れました。


増えすぎた急性期病床の削減と、在宅医療の推進、消費税アップを報酬増に反映するもの。


全国健康保険組合や、日本医師会などの団体は、


今回の改定は概ね好意的に受け止められているとのこと。



昔から、診療報酬や介護報酬の改定については、厚労省の政策誘導が側面があります。


報酬改定によって事業運営や経営方針に影響が出るため、


報酬改定のニュースには目が離せません。



特に最近の報酬改定は、人員基準の変更を伴うものが多く、


多くの介護・医療関係の事業主にとって、死活問題となっているのです。



報酬改定は、医療は2年、介護は2年ないし3年に一度改定が行われ、


特に介護報酬は、5年に一度大手術のような改定が行われます。


報酬改定の情報が分かってから手を打つよりは、


10年後、20年後を見据えて手を打つ必要があります。



将来を予測することも、経営者にとって必要な能力となるのです。


2014年2月10日月曜日

成年後見と権利擁護について

昨日、広島県社会福祉士会の「権利擁護センターぱあとなあ」の名簿登録者会議に

出席させていただきました。



事務連絡とグループワークが行われ、会議の後は懇親会でした。


グループワークでは、「こんな時、どうする?」が主なテーマです。


被後見人等から様々な希望を言われた時、


果たしてどうするか?


権利擁護という視点は、ともすれば効率化の観点から閑却されがちで、


そこで権利擁護に携わる専門家が目をつむってしまえば、


誰も本人の希望をかなえることができず、救済する者がいないという状況になります。


判断力が低下すると、本人の希望よりも周りの状況が優先的となり、


周囲もそれを当然のこととするようになれば、本人の権利侵害につながりかねません。


もちろん、周囲の人間関係や生活環境との折り合いを付けていかなければ、


社会的な生き物である人間は生きていけないのですが、


成年後見という制度は、権利擁護のための手段の一つなのです。


2014年2月6日木曜日

主任調査員

昨日は、シルバーサービス振興会の外部調査の2回目、


主任調査員としてのお仕事でした。



前回の調査時は副としての訪問であったため、


今回の調査はいささか緊張していました。



今回の調査でも感じたことですが、


施設も確実に進化しています。



一昔前の発想では、


施設とは行き場のない人が入るもの、かわいそうな場所という発想でしたが、




昨今の施設の進歩は目を見張るものがあります。


久々に、自分が入ってもいいかなと思える施設でした。



考えてみれば、自分は管理されることを避け、なるべく個人のペースで暮らしたい。


という考えですので、



自分の趣向にあった施設を選ぶことが何よりも重要なのですね。


2014年2月3日月曜日

家庭裁判所へ

全国社会保険労務士連合会が、社労士の社会後見活動の一環として、


全国の社労士会に成年後見センターの設立を推進し、


広島においても昨年10月に一般社団法人として「社労士成年後見センター広島」が


設立されました。




センターが設立される前段階の「推進委員会」であった時、私は勉強会の参加者として


当初参加させていただいておりましたが、途中から推進委員の一人となり、


センター設立後は理事として仕事をさせていただいております。



当然ながらセンターは非営利団体であり、役員はボランティアとして活動しておりますが、


与えられた職務は重大なものであります。



本日は広島家庭裁判所からのヒヤリングのため、理事長・副理事長とともに同行しました。





成年後見活動が制度として国民からの信頼を得るためには、


団体としてしっかりとした体制が構築されているものでなくてはなりません。


特に専門職団体の場合、不祥事がその士業全体へのマイナスイメージへとつながりかねず、


身を引き締めていきたいですね。



一方で、専門職だからこそ、その専門性を生かして、


大いなる社会後見ができるというものです。



2014年2月2日日曜日

日曜日のお仕事

当事務所は、一応平日が営業日となっているのですが、


必要に応じて土日も動きます。


また日曜日は、たまった仕事を行うのに都合のよいものです。



土日においてもケアプランを立てている利用者から要望があれば対応しますし、


緊急出動が必要であれば対応します。



イベントや研修会、打ち合わせ等で、平日は時間が取れないことも多く、


土日は仕事がはかどる貴重な時間なのです。



2014年1月27日月曜日

SNSについて

当事務所はブログ形式で情報発信していますが、

よく、ツイッターやフェイスブックはしないのですかと良く聞かれます。


結論を言うと、私はあまり興味がありません。

リアルタイムでコミュニケーションをとることは良いのですが、

拘束されることが困るからです。


そんな中、世間では「SNS疲れ」という用語まで出ました。

「いいね」と反応しなければならなかったり、誰かとつながっていないと不安になり、

生身の人間を前にしてタブレットやスマートホンを操作するなど、

その弊害は現れています。


さらに、最近お騒がせな「悪質ツイッター」によるバイト中の悪ふざけなどが投稿されること。

企業に対し損害を与えるだけでなく、投稿した本人にも損害賠償請求が来る可能性のある、

非常に危険な行為です。


私個人的には、SNSはビジネスのために存在すると思っており、

特に私のような士業にとって活用すべきツールなのですが、

「直接会って話す」ということに、最後までこだわりたいと思うのです。

2014年1月23日木曜日

「限定性社員」の可能性

日本の雇用制度では、


解雇権濫用法理の制度化、


終身雇用制度を前提とした賃金システムなどの影響により、


正社員として雇用することを企業が推進しにくい環境にあります。



一方で、家庭の事情により転勤が難しく、正社員と同じような働き方がしにくい労働者もいます。


企業の収益力向上のため、非正規労働を中心とした雇用形態が伸び、


結果として、労働者の技術継承や定着率減少などの問題も見られるようになりました。



その中で登場した考え方が、「限定性社員」というものです。


欧米のように、同一労働同一賃金という考え方が定着している中で、


特定の業務に就く形で雇用契約を結ぶものです。


既存の正社員に比べ雇用保障は低下するものの、


仕事内容や勤務地を労働者側が選べるというメリットがあるというもの。



「限定性社員」導入には、一定のハードルがあります。


まず、仕事内容が徹底的に標準化されていること。


日本のように、業務分掌が良い意味でも悪い意味でも曖昧なままであるとか、


次に、企業体が一定の規模を有すること。


中小零細企業のように、一人の労働者が複数の仕事を掛け持ちするなどの状態にあると、


限定性社員の導入は難しいでしょう。



日本の雇用慣行を改めることができるかどうか?


これが限定性社員を導入するか否かのポイントになります。


2014年1月19日日曜日

在宅医療推進医等リーダー研修

本日は久々に医療・福祉関係の研修会に参加しました。

以前は職務柄たくさんの研修にでておりましたが、最近は少なくなっていたので

楽しんで参加してきました。



在宅での看取りや地域包括ケアについて、3月に研修会を企画しております。

私が理事として参画している「福祉事業あんしんサポートネット」において行います。


今後、様々な企画を考えてきます。乞うご期待です。

2014年1月18日土曜日

新年互例会

かつて地域包括支援センター長をさせていただいていたときは、

地域団体の新年互例会に参加させていただいておりました。


仕事とはいえ、役員の方々と顔見知りになると、それなりに楽しかったのを思い出します。


独立し個人事務所となった今では、

経済団体や社会福祉士会、社労士会などの専門職団体の新年互例会に出席しております。


それにしても、昨年12月の忘年会シーズンからの長丁場、

体力的にもきついものがありますが、

1月は「いぬる」

2月は「逃げる」

3月は「去る」

と言われるように、あっという間に過ぎてしまうので、

今の交流会を未来につなげられるように、頑張っていきたいと思います。


2014年1月17日金曜日

最近のお仕事

ここ数日忙しいとの風邪の予兆?で滞りがちでしたが、楽しく仕事をさせていただいております。


今週は、定例の年金事務所での行政協力のほか、

シルバーサービス振興会の、地域密着型サービスの外部調査に訪問させていただきました。


広島県東部のグループホームの調査でしたが、

民家を改修した1ユニット(9名)の小規模で居心地のよいホームで、


家庭的な料理などが提供され、いわゆる施設らしさがないのも印象的でした。



外部評価はネットで公表されるため、詳細はここでは公表できませんが、

非常によい印象を受けたことは確かです。福祉に理解のある経営者が運営されている

ことも大きなポイントですね。


さらに、所属する経済団体の新年互例会に参加してきました。

福祉の業界しか知らない(知らないわけではないが)私にとって、

広島の中小企業がどのような取り組みをしているか、

経営者として、どうあるべきか、どのように事業展開すべきか、


非常によい影響を受けた会でありました。

2014年1月11日土曜日

ブラック企業調査

最近の若者使い捨てなどの社会問題で、いわゆるブラック企業という言葉が浸透し、

昨年9月、1ヶ月間にわたって厚労省のブラック企業調査が行われています。


8割の事業場で違法行為が確認され、内訳としては、

「名ばかり管理職」

「時間外労働や賃金不払い残業」

「過重労働による健康被害防止措置の不備」


などという典型的な違法のほか、


使用者の裁量による、毎月の「基本給」の増減

静脈認証による始業・終業時間管理がされていたにもかかわらず、実際の時間外勤務の

実態とかけ離れていた事例や、

定期賃金の不払いにも関わらず新規採用を行うなど、

サンプル調査にもかかわらず多くの違法が散見。



また、労働者からの申告に基づいてあらかじめ抽出した別の調査においては、

業種によっては違反率100%となるなど、まるで全国津々浦々で労働法が守られていない事態。


このような違法を繰り返す事業主の決まって言う言葉は、

「法律が悪い」ということです。

しかし、そのような事業主は事業に行き詰るか衰退を余儀なくされ、

事業の発展などありえないということです。

2014年1月9日木曜日

○○世代

生まれた年代ごとに、○○世代という言葉がよく使われます。

「団塊世代」「バブル世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」などです。



私は30代半ばなので、「氷河期世代」に分類されます。就職が厳しかった世代であり、

それは今思い起こしても、痛切に感じられます。


「新卒」で就職しなければ、その後はキャリアでも積んでいないと就職できないという意味では、

非常に厳しい時代といわざるを得ません。


そういう厳しい就職戦線を乗り越えた世代と、大量就職の時代とでは、意識や価値観に

違いが見えるという論調は、一理有るかと思います。


ただ、そういう世代という視点で一くくりにされるのは、やはり抵抗があります。


「ゆとり世代」だから使えないとか、「バブル世代」だから派手好きとか、

あまり色眼鏡で物を見ると、本質を失う可能性があります。


思い込みを廃し、人物本位で人材を発掘するのが本当でしょうが、

大量に面接や人事考課などを行う関係上、

世代ごとの属性で見たほうが、分かりやすく効率的なのかもしれません。



2014年1月6日月曜日

配食サービス市場の動向

高齢者向け配食サービスには、自治体が助成するものと、そうでないものがあります。

前者には、本来の定価に比べ割安で提供し、差額を自治体が補助するというもの、

後者には、純粋な宅配事業として配食を行っているもの。


後者のうち有名なものは、ワタミや銀のさらなどの外食チェーンが運営しているものから、

地域密着型で運営してきたスーパーが、宅配事業の一環として行っているものもあります。



高齢化が進み、有望な成長産業になることは間違いなさそうなのですが、

参入する事業者の急増により、一社あたりの販売は伸び悩んでいるとのこと。


私たちのようなケアマネが最前線で思うことは、配食を利用する高齢者の評判は、

意外なほどに「味がよくない」「飽きる」という意見が多いことです。


現在の75歳以上であっても、若い頃に苦労を経験したから少々味に不満があっても我慢し、

自宅に配達してくれることに感謝しつつ食べているのかというと、そうではありません。

不満があればケアマネに頼むかどうかして、業者をいろいろ変えつつ、吟味しているのです。


もう少し若い高齢者?になると、事業者に不満や苦情を言うようになります。


世代によって対処の仕方は若干違うにせよ、たとえ配食事業者といえど、

福祉だから少々我慢せよというのは、食事に関しては通用しません。

食べることが高齢者に残された数少ない楽しみの一つであるからです。



配食事業者のとるべき戦略としては、

徹底したコストの削減による利益の確保 → 安い食材や調味料を使わざるを得ず、味の低下

安全面や手作り感に配慮した弁当作り → 弁当の単価は上がりますが、顧客から飽きられにくい



高い弁当は毎日取れないが、土日などでプチ贅沢をし、

あとは安い弁当をとるか、自分で頑張って粗食で済ます・・・

というような方向性に進むのではないかと思います。ある意味、若者と一緒ですね。


というわけで、配食事業者も二極化するのではないかと思います。

2014年1月5日日曜日

アンチエイジング

30代半ばを過ぎ、代謝も落ちて太りやすい体質となりつつある今日この頃、

老化の速度について気になる記事を見つけました。


学生時代と変わらない体型や面影を維持する人がある一方で、

当時の面影がないほどに面貌がかわる人もいます。

これは体の中の老化の速度が関係しているとのこと。



遺伝要因と環境要因との関係は、およそ25%と75%であり、

環境要因を改善することで老化の速度を弱めることができそうです。


運動は毎日続けられるように生活習慣を工夫し、

喫煙は避け、肥満を防ぐ。


食事の質にもこだわることが必要で、特に肉(飽和脂肪酸)と魚・野菜(不飽和脂肪酸)を

上手に組み合わせた食事を心がけることが必要と。


特に現代人は、肉(飽和脂肪酸)の摂取が増えていることに加え、

油の質にも配慮することが必要です。


サラダ油に含まれる「オメガ6」の過剰摂取の原因は、

現在私たちの身の回りには加工食品が氾濫し、魚の油やオリーブオイルなどに比べ

サラダ油を摂取する機会が多いのが現状です。

アレルギーや炎症の原因物質とのこと。


男性であれば心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、

女性であれば骨と認知機能に注意を払うため、

食事を改善することで状態を少しでも若く維持することができればと思います。


2014年1月4日土曜日

年金支給開始年齢

本日の新聞には、年金をはじめ社会保障に関する世論調査の結果が載っていました。


社会保障に対する信頼度や、負担に対する意識の調査が主なもので、


予想通りというか、社会保障に対しては概ね不安、負担増には反対というものでした。


しかし、介護保険の現行の一割負担に対し、高所得者に限り二割負担を導入する案に関しては、


一定の割合で賛成ということになっていました。





老後の生活の安定のためには年金が欠かせませんが、


その支給開始年齢は近い将来引き上げをせざるを得ないという意見は多く見られます。


仮に75歳まで引き上げることができたならば、


厚生年金の積立金も枯渇することなく一定の安定を保つ事ができますが、


平均寿命が延びたといっても健康寿命は人によって千差万別であり、


支給開始年齢を延ばすといっても70歳程度が限界だと考えています。





昨年10月から、過去に行わなかった年金支給の抑制を遅れて実施しており、


あわせて2.5%の支給減を達成しつつ、現在アベノミクスが進行中でインフレが進行すれば、


現在デフレ下で発動がストップしている「マクロ経済スライド」の発動となり、


物価だけでなく少子化などの進行も考慮に入れた年金額抑制策が発動されるため、


年金額の伸びは抑制されるものと考えられています。



65歳から支給される極めて低い水準の年金か、


70歳から支給されるやや低い水準の年金か、どちらかに帰結するものと考えられますが、


年金制度を破綻させることは国家としてその意義を喪失させることにつながりかねませんので、


年金制度の崩壊そのものは考えられません。





低い水準の年金であれば、何らかの形で勤労することが重要となってくるわけですが、


若い世代のように常勤で働くということは考えにくく、


非常勤で勤務することが現実的となり、年金と給与で生活をやり繰りする時代がやってきます。


いずれにせよ、一定の年金は不可欠となるのです。


年金制度に対する様々な誤解が、若い世代の納付率低下につながっているのであり、


結局そのツケを支払うのは、納付していない個人に帰結される仕組みだという事実を


分かってもらうことも重要なのです。