2014年9月25日木曜日

定額残業代の留意点

残業の発生による人件費の高騰や、計算にかかわる手間等の対策のため、


定額残業代制度を導入する組織も多くあります。


しかし、定額残業代を導入したから、適正な労働時間の把握を免れるわけではありません。


また、定額だから、いくら残業しても関係ないというものでもありません。



基本給、歩合給、年棒等の一部など、


通常の労働時間の賃金部分とは明確に区分して残業代を支払うことが重要です。



2014年9月23日火曜日

マイナンバー時代に向けて

国民総背番号制と揶揄されることもある「マイナンバー」ですが、


その導入に向けた動きが徐々に見えてきました。


もともと税の正確で効率的な徴収が主な目的のひとつなので、


国税当局の動きは早く、平成28年1月から運用を開始するそうです。


さらに、内閣府担当室長の発言が報じられたところによると、


個人番号カードに健康保険証を早急に取り込んでいくとのこと。


健康保険証を扱う業種は非常に多く、最初に思いつくのは病院や診療所です。


また、会社が社会保険の手続きを行うのに必要な書類においても、


健康保険証の番号は必須のため、会社の総務にとっても影響は大きそうです。




マイナンバーが導入されることにより、国民生活の利便性は向上すると考えられていますが、


問題は、「マイナンバー」が非常に高いレベルの個人情報であることです。


現行の個人情報保護法においては、


5000件以上の個人情報を管理している事業者が個人情報取扱い事業者となりますが、


マイナンバー法では、1件でも管理していれば対象事業所となります。


さらに、個人情報保護法では、何らかの問題が起きた場合、行政指導があって後、


それに従わない場合に罰則が適用されることとなりますが、


マイナンバー法ではいきなり罰則対象となります。



マイナンバーには、健康保険証をはじめ、年金、雇用保険、運転免許など、


様々な個人情報の運用が行われていくこととなりそうです。


これを正確に運営するために、罰則を厳しくして問題を防ごうというのが、


現在の行政当局の考え方のようです。


2014年9月7日日曜日

研究者と高齢者

研究者(大学の教員含む)と高齢者は、以外な共通点があります。



労働契約法 第18条の2 において、有期労働契約が更新され


通算5年を超える場合、労働者の申し出により無期契約に転換されるという、


いわゆる「無期転換ルール」があります。



これに対し、2013年に成立し、2014年4月から施行された「有期特例」では、


研究者、大学教員などの「専門的知識等を有する有期雇用労働者」には


無期転換ルールを適用されないこととなりました。



さらに、定年後に有期契約で継続雇用される高齢者にも、


無期転換ルールを適用されないという法改正案が国会に提出されています。




研究者は、期間が定められたプロジェクトが終了したら、


仕事がないのに雇わないといけないという理由。


高齢者は、本人が望めばいつまで雇い続けなければならないという理由。



背景は違えど、意外な共通点があるものです。


パートタイマーへの処遇について

パートタイマーへの処遇は一般的に、


通常のフルタイムの労働者への処遇に比べ、低いものとなっています。


その理由として、労働時間の長短もありますが、仕事の責任の軽重や、


転勤、転属など会社の人事により、仕事内容も左右されるからでもあります。


転勤や転属などがあれば、それまで慣れ親しんだ仕事から離れ、


新たな業務を覚えなくてはなりません。


営業マンであれば、新たな人脈を作らなくてはなりません。


このように、パートタイマー労働者と比べ、会社方針に合わせ


仕事への適応性を高めていかなければならないのが、


通常の労働者と言われる人たちです。





ところで、現在はパートタイム労働法の改正など、


パートタイマーの処遇を確保し、向上させていこうという法改正の流れになっています。


特に問題となっているのが、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」です。


「フルタイムパート」と呼ばれる労働者に象徴されるように、


本来、労働時間を分ける(パート)から「パートタイマー」と言うはずが、


1日8時間、週40時間労働しているのに「パートタイマー」という


不思議な話がおきています。


「パートさん」ですから、通常の労働者と比べ待遇の面で低くなっています。



「改正パートタイム労働法 第8条」では、待遇の相違について、


「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」
(抜粋)


ということは、通常の労働者と比べ、パートタイマーの待遇が低くなっているのには、


合理的根拠が求めれていきそうです。