本日の新聞報道で「ホワイトカラーエグゼンプション」について記事がありました。
それについて少し考察をしてみたいと思います。
労働基準法は戦後すぐの昭和22年に制定され、その後様々な改正を経て、
昭和62年改正では裁量労働制の一部実施とともに、週40時間労働が法定されました。
週40時間労働の上限のような、労働時間を基準にした規制では、
工場労働者のようなブルーカラーの労務管理では有効である反面、
企画、立案、営業など、労働時間だけでは仕事の成果が図れない業種においては、
労働時間によって賃金が決まる仕組みというのは、なじまないのかもしれません。
そこで考え出されたのが、「ホワイトカラーエグゼンプション」です。
ホワイトカラーとは、前述のブルーカラーとの対比で、シャツの襟の色が白く、
作業着ではなく白いシャツを着て事務仕事を中心としたデスクワークを行う人という意味です。
このホワイトカラーの仕事は、単純に労働時間を多く投入すれば
いい仕事ができるというものではありません。(無論、一定の時間はかかるのですが)
短い時間で成果をあげることもあり、
逆に、いくら長い時間をかけても成果が上がらないこともあります。
しかも、現在の労働基準法では労働時間に応じて賃金が支払われる仕組みであるため、
ダラダラ残業や、外勤職員の労働時間の把握の困難などの弊害が発生していました。
単純に成果を上げれば給料を支払うような仕組みにすれば、労使双方ともメリットが大きい
というのが経営者サイドや一部政府内の考え方です。
労働組合や野党の多くは反対しております。
企業が残業代支払いの制約をのがれ、無期限のサービス残業につながるというものです。
成果が上がれば家に帰れる反面、
成果が上がらなかったり仕事が完了しなかったら、いつまでも仕事をし続けなくてはならない
(仕事が終わるまで帰ることを許されない)状況では、
経営者サイドから「まだこれくらいできるだろう」ということで、
仕事が無制限に与えられる可能性があるということです。
とどのつまり、ホワイトカラーエグゼンプションとは、
中小企業の経営者なみの責任と権限が与えられて、初めて上手く機能するものです。
仕事の裁量や権限がない状態で、労働時間の規制だけが撤廃されると、
労働者が悲惨な目にあうことは明白です。
現実的には、ある程度の年収(1000万円など)を超えるとか、
出退勤が全く自由に与えられている研究職などの仕事に限定されるものと思われます。
私個人的には経営者の一人として、ホワイトカラーエグゼンプションには賛成ですが。
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