人事考課を導入しようとする企業や団体は多い。
福祉業界も例外ではありません。
人事考課を導入する目的というのは、組織内の活性化に他なりません。
従業員を動機付け、意欲的に頑張って、成果を出せば報いを受けるという、
ある意味働く上で当然の成果を従業員に味わってもらい、
働くことに対するモチベーションを向上してもらおうとするものです。
ところが、この人事考課が逆に組織の元気をなくしているケースも多々あります。
それは、組織の本質に対する無理解に起因するものです。
福祉業界においては、個人プレーが業績を向上させることはありません。
その理由として、制度的には「人員基準」があること。
人間論的には、複数の人間がいないと組織が回らないこと。
業績は、チームによって向上し、受ける成果はチームによって享受されるべきものです。
業種によっては、個人の力量を伸ばすことで業績に直結するものもあります。
しかしそれは、自動車や保険の営業など、限られた業種にのみ通用するものです。
組織の業態が株式会社であっても社会福祉法人であっても、
特定の個人のプレーによって業績が向上することはありません。
ところが、コンサルタントと言われる人たちの中には、
ある意味で極めて資本主義的な考え方を持っているせいか、
成績の悪い者の報酬を減らし、成績の良い者の報酬に持っていくという、
ゼロサムゲームのような制度を導入しようとする者もいます。
このようなコンサルタントは、組織の本質を見誤っているとしか言いようがありません。
従業員同士、給与明細書を見せ合った瞬間に、組織の瓦解は始まります。
私が日頃から講演などを通じて訴えていることは、
仕事の成果をダイレクトに報酬に結び付けないことです。
働きやすさで報いることなのです。
その「働きやすさ」を与えるには、どのような条件が必要か、
制度的条件(労働法、介護保険法など)
情緒的条件(独特の人間関係など)
歴史的条件(その組織の成り立ち、歴史)
以上を踏まえ、オーダーメイドで、組織ごとに制度を構築することが必要なのです。
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