2014年7月21日月曜日

福祉業界における人事考課

人事考課を導入しようとする企業や団体は多い。


福祉業界も例外ではありません。


人事考課を導入する目的というのは、組織内の活性化に他なりません。


従業員を動機付け、意欲的に頑張って、成果を出せば報いを受けるという、


ある意味働く上で当然の成果を従業員に味わってもらい、


働くことに対するモチベーションを向上してもらおうとするものです。




ところが、この人事考課が逆に組織の元気をなくしているケースも多々あります。


それは、組織の本質に対する無理解に起因するものです。



福祉業界においては、個人プレーが業績を向上させることはありません。


その理由として、制度的には「人員基準」があること。


人間論的には、複数の人間がいないと組織が回らないこと。


業績は、チームによって向上し、受ける成果はチームによって享受されるべきものです。




業種によっては、個人の力量を伸ばすことで業績に直結するものもあります。


しかしそれは、自動車や保険の営業など、限られた業種にのみ通用するものです。


組織の業態が株式会社であっても社会福祉法人であっても、


特定の個人のプレーによって業績が向上することはありません。




ところが、コンサルタントと言われる人たちの中には、


ある意味で極めて資本主義的な考え方を持っているせいか、


成績の悪い者の報酬を減らし、成績の良い者の報酬に持っていくという、


ゼロサムゲームのような制度を導入しようとする者もいます。


このようなコンサルタントは、組織の本質を見誤っているとしか言いようがありません。



従業員同士、給与明細書を見せ合った瞬間に、組織の瓦解は始まります。



私が日頃から講演などを通じて訴えていることは、


仕事の成果をダイレクトに報酬に結び付けないことです。


働きやすさで報いることなのです。


その「働きやすさ」を与えるには、どのような条件が必要か、


制度的条件(労働法、介護保険法など)


情緒的条件(独特の人間関係など)


歴史的条件(その組織の成り立ち、歴史)


以上を踏まえ、オーダーメイドで、組織ごとに制度を構築することが必要なのです。


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