2014年11月18日火曜日

介護休業の拡大へ

育児・介護休業法では、要介護状態になった家族一人あたり


通算93日まで介護休業を取得することができます。


介護休業の規定ができたのが1995年であり、


これは介護保険制度がスタートした2000年よりも以前の話になります。


ですので、現在の介護認定区分である「要介護1~5」に認定される必要は、


必ずしもありません。


「要介護状態」と言っても、客観的な線引きが必ずしも明確であるわけでなく、


会社の就業規則等に介護休業の規程が存在しても、


必ずしも適切に運用がなされているとは限りません。



厚生労働省は、2016年の通常国会に提出することを目処として、


介護休業期間の延長や短期間の介護休業取得ができやすいように


制度を見直すべく検討に入ったとのことです。


要介護高齢者の増加と、特養などの施設ベッドの頭打ちなどで、


在宅介護が推進される一方で、


仕事と介護の両立困難など、離職を余儀なくされる労働者の増加が


社会問題になりつつあります。


国の試算では、年間約10万人が家族介護を原因に離職するといわれています。




2014年11月12日水曜日

任意後見制度の留意点

成年後見制度の一つに、任意後見制度というものがあります。


法定後見制度と任意後見制度の細かい説明は省くとして、


任意後見制度のメリットは、自分の意志で後見人を選べることにあります。


というのも、法定後見 (後見・保佐・補助) については、


基本的に誰が後見人になるか分からないのです。



確かに、法定後見を申立てする際には、後見人候補者を立てることができます。


しかし、後見人候補者を立てたからといって、必ずしも候補者が選ばれるとは限りません。


後見人等を選ぶのは、あくまで家庭裁判所だからです。


また、自分自身が後見相当の精神状況になってしまった後では、


自分の意志で後見人を選ぶことは、事実上不可能です。


家族や福祉関係者が、 「この人がいいよ」 ということで後見人候補者を立てたとしても、


本人の、自分の意志とは言い難いからです。



その点、任意後見制度においては、


自分が信頼をおける人に、財産管理や身上監護をお願いすることができるというわけです。




もちろん、任意後見制度にも問題点がないわけではありません。


「任意後見受任者」を決めて公証役場で公正証書を作成したとしても、


当事者同士が仲違いする可能性があります。人と人との友好関係ですので、揺れ動きます。




また、「任意後見受任者」は法務局に登記されることと、


当事者同士がどのような契約を結んでおくか(事務委任契約など)を


詳細に決めておく必要があることと、正しく制度を理解しておくことが必要なのです。


2014年11月6日木曜日

75歳以上の医療保険料の見直し

久しぶりの更新です。


政府が2015年に法改正を目指す医療保険制度改革案の中で、


75歳以上の医療保険料についても負担増が検討されております。


現在の制度では、75歳になると後期高齢者医療制度の対象となり、


個人で公的な医療保険に加入することとなります。


それまで家族の扶養に入っていたような方は、保険料負担はありません


でしたが、75歳以降は、家族に扶養されていても関係なくなります。


ただし、保険料の軽減措置として、低所得者とともに、75歳までに


扶養されていたような方には、最大9割の保険料負担軽減があります。


75歳以上の人口約1600万人のうち、この対象者は174万人あります。


要は、ここに負担増を求めるというものです。


2年間の経過期間(本来保険料の5割)を経て、3年目以降は一般的な


保険料負担基準に基づいて計算されるため、最大で1500円の負担増に


なる方もありそうです。




ここで「世帯分離」について。


福祉サービス等の負担軽減を目的として行う「世帯分離」ですが、


福祉関係者も薦めるケースもあろうかと思います。


扶養されていた人が受ける保険料軽減措置がなくなることにより、


世帯分離を行うデメリットが一つ消えたことになります。



とはいえ、2015年の介護保険法改正により、


世帯分離による福祉施設の食費居住費の減免にもメスが入りそうな予感で、


福祉関係者のアドバイスも注意が必要な気がします。



2014年9月25日木曜日

定額残業代の留意点

残業の発生による人件費の高騰や、計算にかかわる手間等の対策のため、


定額残業代制度を導入する組織も多くあります。


しかし、定額残業代を導入したから、適正な労働時間の把握を免れるわけではありません。


また、定額だから、いくら残業しても関係ないというものでもありません。



基本給、歩合給、年棒等の一部など、


通常の労働時間の賃金部分とは明確に区分して残業代を支払うことが重要です。



2014年9月23日火曜日

マイナンバー時代に向けて

国民総背番号制と揶揄されることもある「マイナンバー」ですが、


その導入に向けた動きが徐々に見えてきました。


もともと税の正確で効率的な徴収が主な目的のひとつなので、


国税当局の動きは早く、平成28年1月から運用を開始するそうです。


さらに、内閣府担当室長の発言が報じられたところによると、


個人番号カードに健康保険証を早急に取り込んでいくとのこと。


健康保険証を扱う業種は非常に多く、最初に思いつくのは病院や診療所です。


また、会社が社会保険の手続きを行うのに必要な書類においても、


健康保険証の番号は必須のため、会社の総務にとっても影響は大きそうです。




マイナンバーが導入されることにより、国民生活の利便性は向上すると考えられていますが、


問題は、「マイナンバー」が非常に高いレベルの個人情報であることです。


現行の個人情報保護法においては、


5000件以上の個人情報を管理している事業者が個人情報取扱い事業者となりますが、


マイナンバー法では、1件でも管理していれば対象事業所となります。


さらに、個人情報保護法では、何らかの問題が起きた場合、行政指導があって後、


それに従わない場合に罰則が適用されることとなりますが、


マイナンバー法ではいきなり罰則対象となります。



マイナンバーには、健康保険証をはじめ、年金、雇用保険、運転免許など、


様々な個人情報の運用が行われていくこととなりそうです。


これを正確に運営するために、罰則を厳しくして問題を防ごうというのが、


現在の行政当局の考え方のようです。


2014年9月7日日曜日

研究者と高齢者

研究者(大学の教員含む)と高齢者は、以外な共通点があります。



労働契約法 第18条の2 において、有期労働契約が更新され


通算5年を超える場合、労働者の申し出により無期契約に転換されるという、


いわゆる「無期転換ルール」があります。



これに対し、2013年に成立し、2014年4月から施行された「有期特例」では、


研究者、大学教員などの「専門的知識等を有する有期雇用労働者」には


無期転換ルールを適用されないこととなりました。



さらに、定年後に有期契約で継続雇用される高齢者にも、


無期転換ルールを適用されないという法改正案が国会に提出されています。




研究者は、期間が定められたプロジェクトが終了したら、


仕事がないのに雇わないといけないという理由。


高齢者は、本人が望めばいつまで雇い続けなければならないという理由。



背景は違えど、意外な共通点があるものです。


パートタイマーへの処遇について

パートタイマーへの処遇は一般的に、


通常のフルタイムの労働者への処遇に比べ、低いものとなっています。


その理由として、労働時間の長短もありますが、仕事の責任の軽重や、


転勤、転属など会社の人事により、仕事内容も左右されるからでもあります。


転勤や転属などがあれば、それまで慣れ親しんだ仕事から離れ、


新たな業務を覚えなくてはなりません。


営業マンであれば、新たな人脈を作らなくてはなりません。


このように、パートタイマー労働者と比べ、会社方針に合わせ


仕事への適応性を高めていかなければならないのが、


通常の労働者と言われる人たちです。





ところで、現在はパートタイム労働法の改正など、


パートタイマーの処遇を確保し、向上させていこうという法改正の流れになっています。


特に問題となっているのが、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」です。


「フルタイムパート」と呼ばれる労働者に象徴されるように、


本来、労働時間を分ける(パート)から「パートタイマー」と言うはずが、


1日8時間、週40時間労働しているのに「パートタイマー」という


不思議な話がおきています。


「パートさん」ですから、通常の労働者と比べ待遇の面で低くなっています。



「改正パートタイム労働法 第8条」では、待遇の相違について、


「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下、「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」
(抜粋)


ということは、通常の労働者と比べ、パートタイマーの待遇が低くなっているのには、


合理的根拠が求めれていきそうです。